104.5 2020 8 10 Mountain Day

「電荷の偏り」
 私は、子供の頃、
いろいろなものが水に溶けるので、不思議に思っていました。
 たとえば、食塩が水に溶けるだけでなく、
ジュースの粉までも、あっという間に溶けるのです。
「水って、実に不思議な液体だ」と思いました。
 実は、これは、水の分子構造に秘密があるのです。
学校で勉強すると、水の分子は、「H2O」となるでしょう。
 これでは、その分子構造は、
「H-O-H」のように水平のようなものを連想するでしょう。
 しかし、水の分子構造は、水平ではなく、「山」のような構造です。
山の頂点が「O」で、裾野に「H」があります。
つまり、「V」という文字を逆にしたような形となります。
そして、逆V字の開いている角度が「104.5度」となります。
 このような分子構造が、いろいろなものが水に溶ける理由とされますが、
田口善弘氏は、著書で「電荷の分布」についても言及しています。
 確かに、水分子は、全体として見れば「中性」ですが、
内部の電荷の分布を考えれば、
酸素があるほうは「負」の電荷を帯びていて、
水素があるほうは「正」の電荷を帯びているでしょう。
 ここで、塩を水に溶かすと、
正の電荷を帯びているナトリウムイオンは、
負の電荷を帯びている酸素側に引き寄せられ、
一方、負の電荷を帯びている塩化物イオンは、
正の電荷を帯びている水素側に引き寄せられます。
これが水に溶けるという現象でしょう。
 しかしながら、生物学に「電荷の分布」まで取り入れると、
「タンパク質」は、全体として「中性」かもしれませんが、
多くの原子で構成されているので、
内部構造において、電荷の分布は一様ではないでしょう。
 つまり、ここには、物理学の思考が必要であり、
さらに言えば、「量子力学」の思考も必要となるでしょう。
 しかしながら、理科系の人たちでも、量子力学は苦手です。
たとえば、「物質は、粒子であり、波でもある」という考え方です。
 ここで、「波」を海水浴場の波と考えてしまうと、わかりにくいのです。
「波の性質」があると考えれば、わかりやすいでしょう。
 さらに、「電子は、電子殻に確率的に存在するが、
観測すれば、収束して粒子となる」という考え方もあります。
 私にとっては、生物学とは暗記科目のようなものであり、
おもしろくない科目であると思っていましたが、
物理学や量子力学を取り入れるとなると、
俄然やる気が出てきてしまいました。
 もちろん、「量子生物学」とは言わないそうです。
これでは、物理学が生物学を乗っ取ったような感じなりますので、
正確には、「分子生物学」と言うそうです。
いずれにせよ、物理学が生物学に進出する道が開けた感じがします。
(参考文献)
「生命はデジタルでできている」(田口 善弘)

























































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